
製品を創るということ
20世紀のフランスの作曲家オリヴィエ・メシアン Olivier Messiaen (1908–1992)がパリ国立高等音楽院の作曲の教授だったとき、ある学生に「すべての音楽には、聴き手その人にしかわからないメッセージがある。君自身の曲を書きなさい」と言ったと、あるテレビ番組で聞いたことがあります。この話を聞いたときに私は深く共感しました。メシアンが直接言っていたのは芸術作品としての楽曲のことでしょう。でもこれは何かを創ることについての普遍的な真理だと思います。私たちが創る製品もそうです。私たちの製品を使った人は、その人にしかわからないメッセージを受け取るのです。
魅力的な製品とは何か、いつも私が考えている問いですが、その答えのヒントがここにあると思います。
何をする製品なのか、どんな気分を伝えたいのか、本当に真剣に考えて製品をデザインしたとき、使い手ごとに受け取るものは違っても、まぎれもなくどの使い手にもデザイナー自身(のいろいろな面)が見えてくるのです。そしてそれがどこかで深い共感を呼ぶとき、それは魅力的な製品なのだと思います。
そして私たちはそのような製品を創りつづける会社であれたらと思います。
アレイ株式会社 代表取締役社長 阿部 聡
プロフィール
1965年 渋谷区生まれ
1984年 筑波大学附属高等学校卒業
1988年 東京大学 工学部 計数工学科卒業(工学士)
1990年 東京大学大学院 理学系研究科 情報科学専攻修了(理学修士)
1991年 アレイ株式会社設立 代表取締役社長就任
1998年 株式会社阿部設計とアレイ株式会社が合併してアレイ株式会社となり代表取締役社長就任
2020年 ISO/TC 215/WG2 Convenor Support 就任
趣味
クラシック音楽
コンサートやオペラにはわりとよく行く方だと思います。
長いブランクのあとピアノを再開。技術はまだまだですが、楽しんで弾いています。発表会にも出演します。
楽曲分析やコンサートのプログラムノート(曲目解説)を書くのも好きです。
能
2012年にお稽古を始めました(宝生流)。
発表会で仕舞や舞囃子を舞います。
2019年には半能「加茂」のシテを舞いました。
日常でときどき狂言の言葉を使うことがあります。
「此れは如何な事!」とか(笑)。
ワイン
2000年 JSAワインエキスパート
2003年 Chevalier du tastevin (Bourgogne)
いろいろなワインが好きですが、とくに好きなのは?ときかれたら、
ブルゴーニュのピノ・ノワールとピノ・ノワールが多めのシャンパーニュ、
ピエモンテのネッビオーロ、そしてブルネロ・ディ・モンタルチーノでしょうか。
フォント
小学生のころから写研の書体に憧れていました。
いつか自分でフォントをデザインかプロデュースしてみたいと思っています。
橋
素朴な単純桁橋から最新の吊り橋や斜張橋まで、橋を見るのが好きです。いつかスイスの橋梁デザイナー、ロベール・マイヤールRobert Maillart (1872–1940)の作品を見て回りたいと思っています。東京の橋では隅田川の永代橋(1926年竣工 太田圓三・田中豊原案、竹中喜義設計)が好きです。
郵便ポスト
国内・海外の郵便ポストを撮影しています。日本の郵便ポストはどの形式も大好きです。