就職を果たしたものの、仕事内容も勤務条件も、希望とはかけ離れていた。そんな中で“セカンドチャンス”をくれたのが、アレイだった。
私はいわゆる「第二新卒」の形で、アレイに入りました。もともと大学では、材料科学を専攻し、金属酸化物の研究をしていました。その関係で、卒業後は金属メーカーに就職。
ところが研究職を希望したにも関わらず、配属されたのは、工場で製造作業を行う部署。勤務地も東京を希望しましたが、そこは東京からだいぶ離れた土地でした。加えて日常業務では重さ数十キロのパーツを手で取り扱う必要があったり、車がないと成り立たない生活環境であったりと、それほど体力があるわけではなく、運転にもあまり自身がない私にはなかなか難しい環境でした。これは、聞いた話とずいぶん違うなと……。
そして仕事以外に、もう一つ辛いことがありました。それは、大切な人と離れ離れになってしまったことです。実は、「ラブストーリーは突然に」ではないですが、3か月間の新人研修を受けた時に同期の女性と運命的な出会いがあり、付き合うことになりました。ところが研修後、彼女は東京に配属。というわけで、いきなりの遠距離恋愛になってしまったんです。しかも聞くところによれば、私の部署から東京の部署に異動したケースは、過去にはほぼないとのことでした。
そんな経緯から、私は転職を決意。第二新卒を対象とした転職エージェントには、以下の希望条件を伝えました。
・開発職または材料研究職であること。
・勤務先が東京であること。
・転勤がないこと。
希望に開発職を入れたのは、もともとパソコンなどを扱うのが得意だったので、専門知識はないもののプログラミングをやってみたいと思っていたからです。そして、これらの条件に全てあてはまった会社が、アレイでした。とはいえ他にも条件に合う会社はいくつかあり、同時に応募しました。では、その中からなぜアレイを選んだのでしょう。
理由の大きな一つが、選考スピードの速さでした。アレイでは計3回の面接試験に臨みましたが、選考のスピードは恐ろしいほど早く、他社でようやく一次面接が終わって結果待ちとなったタイミングで、アレイではもう三次面接を終え内定まで出していただいていた。遠方から東京に何度も出て来ること自体が大変でしたし、何よりも早く新しい生活を始めたかったので、そのスピード感は非常にありがたかったですね。
アレイでは、ソフトウェア開発業務に従事。やりがいは「自分の考えたことが成果に直結すること」と「お客さまのフィードバックを得られやすいこと」。
入社したアレイでの業務は、医用画像システムのソフトウェア開発でした。病院さまのご要望に沿って、ソフトウェアを作ったり、アップデートする仕事になります。開発を行うにはプログラミングが必要で、プログラミング技術はアレイに入ってから本格的に覚えました。
入社してすぐの頃は、CTやMRIなどで撮った医用画像を技師がチェックするための検像システム「Quartina」を担当。その後、医用画像のインポートシステム「Preludio」と「Preludio quattro」を主に担当するようになりました。
この仕事の面白いところは、自分の頭で考えたことが、そのまま形になることです。たとえば病院さまから、□□の条件に当てはまるものには番号5を、△△の条件に当てはまるものには番号10を付けてほしいとのご要望があったとします。ひと口に番号を付けるといっても、順番に並べるためなのか、後で他のシステムと結合するためなのかといった「目的」により、実現方法は変わってくる。したがって私は実際にコーディングを行う前に、お客さまの意図を聞いたり考えたりして、要件を噛み砕くようにしています。そうやって自分の頭で考えて工夫したことが、ダイレクトに成果物に反映されるところに、一つのやりがいを感じています。ですので私の場合、実際にコードをガリガリと書く作業は仕事全体の半分か、それよりやや少ないくらいではないでしょうか。他の時間は、そうやってお客さまの意図を咀嚼する作業に費やしています。
もう一つこの仕事でうれしいのが、お客さまからのフィードバックを比較的得やすい点です。当社の営業社員などを通してにはなりますが、「お客さまが喜ばれていた」といった声を聞くと、がんばった甲斐があったなと感じられます。もちろん良くないフィードバックを受けた時は辛いですし、改善に繋げる必要も出てきますが、いずれにしても医療現場という重要な場所で自分の作ったものを使っていただき、そのフィードバックを得られることは確かなやりがいとなっています。同じソフトウェア開発でも、会社によってはお客さまからのフィードバックがエンジニアに届きにくいケースもあると思います。その点、当社はベンダーさんの製品を開発するのではなく、基本的に自社製品を開発・納入しているために、そうした声をいただきやすいのでしょう。
ちなみに当社は社風なのか、社内で意見を言いやすいことも特徴です。たとえばソフトウェアのUIのレビューを行う会合があったりすると、社内の幅広い参加者が集まり、役職や年齢に関係なく気軽に意見を言い合います。たとえ意見がつたないものであっても、少なくともきちんと俎上には上げてもらえる。これは社長自身が開発畑出身で、オープンに意見を出し合える環境が、会社の競争力の大切な源泉になると認識されているからこその社風なのかもしれません。
東京勤務とテレワークにより、家族と過ごす時間が大幅に増加。会社側には、こちらの事情を説明し、テレワークの比率を通常より増やしてもらった。
こうして前職時代からは業務内容が大幅に変わった私ですが、プライベートの面でも激的な変化が起こりました。
まずは、アレイへの入社を機に東京勤務となったことで、遠距離恋愛だった彼女と一緒に暮らせるようになったことです。その後、おかげさまで私たちは、入籍を果たしました。
そして東京勤務以上に大きかったのが、コロナ禍をきっかけにテレワークが進んだことです。ソフトウェア開発部は職種がら、テレワーク比率が高い部署なのですが、私は会社に相談し、より出社比率を下げていただくことになりました。というのも私の妻が障がいを持っていて、家庭では私が介護と家事を担当するため、出社しづらい時があるのです。そうした事情をお伝えしたところ、2週間に1度程度の出社でOKとなり、ありがたいことに妻と過ごす時間を十分に持てています。働き手の事情を汲み、寄り添ってくれる会社には、とても感謝しています。社内には他にも、事情があって出社比率を下げてもらっている社員がいます。
ちなみにテレワークと言えば、私はテレワークによる筋力の衰えを感じたため、スポーツジムに通い始めました。当社は「関東ITソフトウェア健康保険組合」に加入しているので、有名ジムを含めた全国約千か所のスポーツジムを、格安で利用できます。
最後に、私が今仕事で挑戦している「netPDI」の取り組みをご紹介します。こちらはクラウドを利用した当社の医用画像交換システムで、私はこのnetPDIの製品企画プロジェクトに、自ら手を挙げて参加することになりました。現状、病院間での医用画像のやりとりは、ほとんどがCDやDVDなどの物理メディアで行っています。今後それがオンライン上のやりとりに移行していくと思われますので、社会にそのための環境が整うまでにnetPDIの知名度と信頼度を上げ、他社に負けない存在にする。まだまだ微力ではありますが、そのお手伝いができればと思っています。今後も家庭を大切にしながら、仕事では新しいことに挑戦していきたいです。