HL7 FHIRとは
HL7は保健医療情報の交換にあたっての標準規格です。
DICOMが放射線画像を主に扱うのに対し、HL7では医療文書情報(処方や検査結果など)を主に扱う規格です。
HL7に様々バージョンがありますが、その中で今注目を集めているのが、HL7 FHIR (Fast Healthcare Interoperability Resources)です。
HL7 FHIRはWeb通信での連携を想定し、既に世界で一般的に用いられるREST通信を用いて、設計・実装しやすいこと目指して開発された相互運用性リソースです。
アメリカでブラウザから自身の健康情報を簡単にダウンロードできる仕組みであるBlue Buttonというシステムが開発されるにあたり、そのデータ送受信のための標準として用いられています。
さらに、健康管理アプリやスマートウォッチなど、PHRアプリやIoTデバイスとの連携においてFHIRが採用されるようになっており、医療情報分野でFHIRは重要性を増しています。
FHIRの標準化について
日本国内の動向として、以下のHL7 FHIR記述仕様が厚労省標準として認められました。
- HS036 処方情報 HL7 FHIR 記述仕様
- HS037 健康診断結果報告書 HL7 FHIR 記述仕様
- HS038 診療情報提供書 HL7 FHIR 記述仕様
- HS039 退院時サマリーHL7 FHIR 記述仕様
これらは、処方情報や診療情報提供書などといった4文書について、その表現形式や項目を規定する記述仕様となっています。
通信方式に関する規定はなされていませんが、文書の記述が標準化されたことにより、情報の互換性が高まり、システム間で文書を交換することが従来に比べて容易になっていくのではないかと思います。
これらの標準は日本医療情報学会と日本HL7協会が申請したものであり、日本医療情報学会 NeXEHRS研究会 「HL7 FHIR 日本実装検討WG」が日本での実装を進める上で必要な拡張などを決定し、その文書化を進めています。
このWGは厚生労働省の研究事業として「検診情報と栄養情報の標準的なデータ項目・様式・交換方式をFHIR準拠情報として開発する研究」を行っているなど、今後の日本国内でHL7 FHIRの標準化に向けて活動していくのではないでしょうか。
ベースとなるHL7 FHIR自体の開発は、FHIR Community Process(FCP)によって行われています。
HL7 FHIRの原則に従う限り、FHIR仕様を公開する様々な組織がFCPに参加することができ、FPCのプロジェクトは、その代表であるFCP Coordination Committeeに提案され、承認を受けることになっています。
参考:HL7 international FHIR ドキュメント
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