用語・技術解説

光学濃度の計測

光学濃度とは、写真フィルムや印画紙などのある部分に対して、光がどれだけ透過・反射しないかの度合いを対数で表したもので、最小値が0.00(すべて透過・反射)で、数値が大きいほど濃いことを示しています。 通常の写真フィルムの場合、薄いところから濃いところまでで0.00-4.00くらいの光学濃度を示します。 工業用のかなり濃いフィルムでは最高濃度が5.00を超えるものもあります。

この光学濃度の概念は、当初、写真フィルムや印画紙の特性(光のあたった量と濃さの関係)を求める「センシトメトリ」といわれる分野で用いられてきました。 しかし、現在では光に関する計測やハードコピーの特性の分析など、幅広い分野で使われるようになりました。

光学濃度の測定には、濃度計(densitometer)と呼ばれる装置を使います。濃度計は、試料(計測する対象)に光を当てて、その透過光または反射光の強さを測定するしくみを持った計測器です。 試料としてよく使われる写真フィルムや印画紙などの銀画像は光を拡散する性質を持つので、測定の空間的条件を定めておく必要があります。フィルムに垂直に入射した光も、透過すると広がって図のように入射光と異なった角度にも分布するようになります。

この拡散光を全部とらえて測定した濃度を「拡散濃度」といいます。濃度計では、100μmφ程度以下の小さい面積を測定するマイクロ濃度計以外では、普通この拡散濃度を測定するようになっています。 これに対して拡散透過した光のうち平行な成分だけを測定したときの濃度を「平行光濃度」といいます。平行光濃度は透過した光の一部を測るため必ず拡散濃度より高い値を示します。試料がガラスのようにほとんど光を拡散させない場合にのみ両者は近い値を示しますが、フィルムでは1.3から1.6の比をもつことが多いようです。この比率はフィルムの粒状性などの性質によって異なり、また同じフィルムでも濃度レベルによって違った値をとることもあります。

拡散濃度を測定するには、一般にフィルムと密着して拡散板を置き、いろいろな角度に出る光をとらえるようにします。フィルムの膜面が拡散板に密着するようにして測定するのが正しい測定方法です。 一方、印画紙などを測定するときに使用する反射濃度は試料に垂直に光をあてて、拡散反射した光のうち45度の成分をとらえて測定することが、ISOで定められています。

濃度計にはさまざまなタイプがあり、センシトメトリやエレクトロニクス、放射線医学などの分野で用いられています。 最近では、プリンターの画質評価などにも使われています。

入射光フィルム透過光

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