DICOMはDigital Imaging and Communications in Medicineの頭文字で、「ダイコム」と読みます。CT・MRI・内視鏡・超音波などの医用画像診断装置、医用画像プリンタ、医用画像システム、医療情報システムなどの間でデジタル画像データや関連する診療データを通信したり、保存したりする方法を定めた国際標準規格です。ACR(北米放射線学会)とNEMA(米国電機工業会)によって1985年に最初の規格ACR–NEMA300-1985が制定されました。その後も進化を続け、1993年にRSNAにおいて承認された新しい規格がDICOMと名づけられ、現在に至っています。DICOM規格書は随時更新され、NEMAから出版されています。その数は、本編Part1~22、補遺Supplement1~230にのぼり(2023年3月29日現在)、基本的に英文で記述されています。JIRA(社団法人日本画像医療システム工業会)DICOM委員会やいくつかの団体によって、DICOM規格の一部の和訳が公開されています。
DICOMは広範囲にわたって規格が定められていて、その定義の中には幾通りかに解釈できる部分があります。また、DICOMの各情報の内容にも必須である項目とそうでない項目があるため、必須でない項目に対する各社の対応の違いには幅があります。そのため「DICOM対応」を主張する場合、DICOMのさまざまな機能のうちどの部分に対応できるのか、製造者はそのサポート範囲について明確に宣言するよう求められています。これを「コンフォーマンス・ステートメント(適合性宣言)」といい、接続に必要となる各種の技術情報が記述されています。このコンフォーマンス・ステートメントを交換することによって、機器の接続に関してメーカー間で仕様を確認したり、ユーザーが性能比較や機器同士の互換性確認をすることができます。
DICOM規格では、医用画像ネットワークで必要となるさまざまな機能をサービスと呼んでいます。サービスは「画像受送信」「画像プリント」「画像検索」などの分野ごとにまとめられ、次のようなサービスクラスとして定められています。
DICOMのサービスクラス
● Basic Worklist Management Service Class
作業リストを取得する機能
● Modality Performed Procedure Step Service Class
検査作業結果をHIS/RISに送る機能
● Modality Worklist Management Service Class
検査情報を取得する機能
● Print Management Service Class
診断装置からイメージャなどに画像を出力する機能
● Query/Retrieve Service Class
画像データなどの問い合わせ・検索、取得をする機能
● Storage Commitment Service Class
画像データなどの保管状況を知らせる機能
● Storage Service Class
装置間で画像データなどを送受信する機能
● Verification Service Class
DICOM接続できるかどうかの確認をする機能
上記のすべてのサービスクラスには、サービスを提供する側と、サービスを利用する側の2つがあります。前者をSCP(Service Class Provider)、後者をSCU(Service Class User)といいます。また、上記のサービスクラスのうち、特によく利用されるのは次のサービスクラスです。
● Modality Performed Procedure Step Service Class
● Modality Worklist Management Service Class
● Print Management Service Class
● Query/Retrieve Service Class
● Storage Service Class
● Verification Service Class
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